遠くにありて

「ここは君の家でもあるんだよ」と言われた家に、もう帰ることができない。
二人の子供だからと言っていた猫たちにももう会えない。
遠くにあって、いつの間にか私の支えになっていたものが
なくなってしまって初めて、私はそれらがないと生きていけないと分かった。
涙が止まらない。

去年の初夏に彼の家に療養に行った最後の日
ここにずっといられない自分が悲しくて大声を上げて泣きました。
猫たちが驚くので、寝室の隅でうずくまって泣きました。
その後、日が暮れるまで、日が落ちても、家の写真や猫の写真、青い空が夕日に染まるのをカメラに収めました。
また辛い事があったらここに来れるから、と。
でもそこに私はもう戻る事が出来ません。